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レーシック 失敗しないためのNEWS

いつの間にかメガネは体の一部になってしまった。何年メガネをかけていても、不快感は相変わらずだ。
冬の通勤電車に乗ればメガネがすぐくもる。熱いうどんやラーメンをすすっても同様だ。
何歳になっても、眼がいい人もたくさんいる。遺伝なのか、本人の不摂生なのか、近視になるにはいろいろな要素があるのだろうが、眼のいい人がうらやましくなるのも当然だ。
人をうらやむことは、精神衛生上よくない。高度経済成長と合わせたわけではないが、私の近視は年々順調に進み、それに乱視も加わった。
バブル経済がはじけ、経済成長が止まったころからは、老眼が始まった。左右両眼とも0.1以下。
私の場合は三重苦というわけだ。新聞記者という職業柄、細かい活字を見ずには日が暮れない。
この10年ほどは、メガネを買いかえるときは、普通とは逆に矯正を弱くしなければならなくなった。遠くがよく見えるように近視の矯正を強くすれば、手前がまったくお手上げだ。

いちいち新聞を読むのにメガネをかけたり外したりしていては商売にならない。本も新聞もメガネを外さずに読め、遠くもそこそこ見える。
そんな都合のいいことはできるわけはない。活字を見ることを優先した結果、最後はメガネをかけても、視力は0.3程度になってしまった。
これでは車の運転もままならない。遠近両用も試してみたものの、視線を移すたびに世界が揺れるような気分になり、性に合わなかった。
最近売り出された遠近両用のコンタクトレンズも、異物感が強く、いまいちだ。近視回復手術については、以前から強い関心を持っていた。
きっかけは米国のベストセラー作家のT・クランシー。10年以上も前に発売された作品に、近視の手術が紹介されていた。
「へえー、アメリカじゃこんな進んだことをしているのだ。日本では、どうしてしないのだろう」と、思った。
そのころから新聞や雑誌に掲載される近視手術の記事を丹念に読み、気になるものはスクラップしていた。近視は一生治らないと、教えられた記憶があるし、タクシーの車内広告にあるハウツウ本的な「何日間で近視が治った」式の宣伝には胡散臭さを感じていた。
近視手術失敗で裁判になったケースもあった。自分が手術を受けることは、まずないだろうと思っていた。
その後の技術的な進歩、展開については知らない。この1〜2年、近視手術をとりまく状況が大いに変わってきたような気がした。

メガネの買いかえ時期を迎え、近視用と遠視用のメガネを使い分けるか、両用にするか、それともコンタクトレンズかと思い迷っていた。インターネットで米国の事情を調べてみると、米国ではレーザーによる手術が当たり前だということが分かった。
ただ、残念ながら、日本ではまだこの種の情報はとても少ない。インターネットを見ても、2〜3の眼科医やグループがPRしているものの、実績やミスについては知る手かがりに乏しい。
国立病院にいる友人の心臓外科医の手づるで、眼科の専門家に会って話を聞いたり、科学担当記者の話を聞いたりした。インターネットにあるN眼科学会のホームページを手かがりに、近視回復手術のガイドラインの説明も聞きに行った。
どうやら、日本でも、手術を受けても大丈夫そうだと感じた。問題はどこで手術を受けるかだ。
「信用できる眼科医を選びなさい」といわれても、そこを探すのが大仕事だ。Mクリニックを選んだ理由は2つ。
有名医大の事務系の仕事をしている学生時代からの友人が、その大学の眼科から聞いたといって、Mクリニックがいいらしいと話してくれたこと。その大学でも、最近レーザー手術を始めたが、自分の勤務先ではなく、池袋のMクリニックの名前を耳打ちしてくれたわけだ。
何となく信憑性がありそう。私はMクリニックのほかに、都内の他の眼科2ヵ所で、手術前の検査を受けて、説明も聞いた。

Mクリニックは3番目に訪ねたのだが、いちばんていねいで、説明も分かりやすかった。Mさんのざっくばらんな人柄もよかった。
日本で一番実績があるということを売り込みたいはずだが、押しつけがない。私がMクリニックを訪ねたのは2000年10月19日。
検査を受けた後、Mさんから手術、術後の問題点と合併症についての詳しい説明を受けた。眼球の大きさ、角膜の厚さなど、平均点以上のいい眼球だということだった。
しばらく雑談した。手術だから間違いがあってはならない。
一方では現実問題として、当然間違いも起こりうる。現に医療ミスによる事故が相次いでいる。
Mさんの話では、新聞記者としては私が第1号。数千人の手術を終え、多くの人に視力を取り戻してくれたMさんでも、新聞記者相手では、仕事がやりにくいらしい。

根ほり葉ほり聞くのは職業病。敬遠されることの多い新聞記者だが、患者という点では同じ、職業差別してはいけません、緊張してしくじったりしないで下さいね、などとバカ話をしているうちに、この人なら安心してまかせられることが分かった。
世の中、雑談は大切だ。色々なことが見えてくる。
次の週に手術を受けることを決めた。手術に不安がなかったといえば、ウソになる。
私は生まれてこのかた、大病をしたことはないし、もちろん手術の経験もない。扁桃腺もいじったことはないし、盲腸も残っている。
親からもらった体はそっくりそのままだ。体を切り刻まれるわけではないとはいえ、大切な目玉の一部を削るのだから、恐怖感は大きい。
「痛みもないし、すぐに終わります」といわれて納得していても、どこか心の片隅では一抹の不安は残っている。「座頭市になったらどうしよう」だ。
でも、「もう決めた」と腹をくくった。一週間待った。

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